
お悩み相談事例 子育て中の夫婦はなぜすれ違う?カウンセリングで見えた二人の共通点
本来、子どもの誕生は夫婦にとって大きな喜びのはずですよね。
にもかかわらず、子育てが始まった途端に夫婦のすれ違いが増え、
「こんなはずじゃなかった」と動揺や混乱を隠せない方も少なくありません。
子育中のすれ違いが長く続くと、憔悴した頭に浮かんでくるのが「離婚」の二文字です。
でも私は夫婦カウンセラーとして、そんなご夫婦のお話を伺うたびに思うことがあります。
二人とも家族を大切にしたいのに、その方法が違うだけなのかもしれない。
今回は、子育てをきっかけに夫婦関係が悪化してしまった事例をもとに、「分かってくれない」が積み重なる理由と、夫婦の価値観の違いをどう乗り越えていけばいいのかを考えてみたいと思います。
※プライバシー保護のため、事例は内容の一部を変更しています。
「もうだめかもしれない…」子育てで夫婦関係が悪化した事例
ご相談にいらしたAさん夫婦には、小学生のお子さんがいます。
もともとは仲の良いご夫婦でしたが、子どもが成長するにつれて、教育や生活習慣をめぐる意見の違いが目立つようになりました。
妻は、宿題や翌日の準備は早めに終わらせ、生活リズムもしっかり整えてあげたいタイプ。
一方の夫は、
「子どもなんだから、もう少し自由にさせてもいいんじゃない?」
という考えでした。
妻からすると、夫は子育てに無責任。
夫からすると、妻は子どもに口を出しすぎている。
最初は小さな意見の違いだったものが、次第に、
「あなたは何も分かっていない」
「どうせ俺の意見なんて聞かないだろ」
という夫婦同士の批判に変わっていきました。
そのうち、子どもの前でも険悪な空気になることが増え、妻から「このままなら離婚したほうがいいのかもしれない」という言葉まで出るようになったそうです。
子育てで夫婦がすれ違うのはなぜ?
子育てが始まると、それまで見えにくかった夫婦の価値観の違いが一気に表面化することがあります。
「どこまで叱る?」
「勉強はどのくらいさせる?」
「ゲームやスマホは?」
「習い事は?」
「お金はどこまでかける?」
「子どもが嫌がったらどうする?」
正解が一つではないことばかりですよね。
しかも、自分自身がどんな家庭で育ってきたかも子育てに影響します。
「私はこう育ててもらって良かったから、同じようにしたい」
という人もいれば、
「自分が子どもの頃に嫌だったから、同じ思いは絶対にさせたくない」
という人もいます。
つまり、目の前の「宿題をさせるか」という話だけをしているようで、実はその奥では、それぞれの人生経験や親子関係、大切にしている価値観までぶつかっていることがあるのです。
だからこそ、簡単には譲れなくなってしまいます。
「分かってくれない」の裏側にある本当の気持ち

夫婦喧嘩になると、つい相手の言葉だけに反応してしまいます。
「もっと子どものことを考えてよ!」の裏には、
「私ばかり子育てを背負っていて苦しい」という気持ちがあるかもしれません。
反対に「そんなに神経質になるなよ」という言葉にも、
「自分の意見はいつも否定される。父親として信頼されていないようで寂しい」という思いが隠れていることがあります。
表面では教育方針をめぐって争っていても、本当に伝えたいのは、
「私の頑張りを分かってほしい」
「僕の気持ちも尊重してほしい」
ということだったりします。
この本音をうまく伝えられないまま「分かってくれない」が積み重なることが、夫婦のすれ違いを深くしてしまうのです。
意見が違ったときに相手を敵にしてはいけない
子育てでは、子どもを大切に思うからこそ神経質になったり、夫婦ともに譲れなくなったりすることがあります。
そんなとき私は、
「そもそも、お二人が目指していたのは何でしたか?」
とお尋ねすることがあります。
きっと答えは、「子どもに幸せになってほしい」ですよね。
それなのに、どちらの教育方針が正しいかを争い、家庭がいつも険悪になってしまったら、本来の目的から遠ざかってしまいます。
価値観が違うこと自体が問題なのではありません。
「どちらが正しいか」ではなく、「家族にとってどうするのがいいか」を二人で考えることが大切なのです。
カウンセリングで見えてきた「二人の共通点」
お話を伺っていて印象的だったのは、お二人とも夫婦関係に悩んでいるなかでも、お子さんのことを大切に考えていることです。
大切に考えていたからこそ、妻は夫を「無関心」と感じ、夫は妻に「聞いてもらえない」と感じてしまっていたのです。
しかし、話を整理していくと、二人には共通する願いがありました。
「子どもには、安心できる家庭でのびのび育ってほしい」
方法は違っても、目指していた場所は同じだったのです。
それに気づいたことで、「どちらが正しいか」を争う関係から、「二人でどうしたらいいか」を考える関係へと、少しずつ変わっていきました。
