
お悩み相談事例 「離婚してよかった」シングルマザーになる不安を乗り越えた妻の決断
夫ともうこれ以上生活を続けたくない。
それでも離婚後のお金や仕事、子育てを考えると怖くて動けない。
特に専業主婦の女性にとって、シングルマザーになる決断は簡単なものではありません。
さらに「子どもから父親を奪ってしまうのでは」という罪悪感から、自分さえ我慢すればいいと思ってしまう方もいます。
でも、本当に考えたいのは「離婚するべきか」だけではありません。
今の家庭環境を続けることと、離婚して新しい生活を始めること。それぞれの先に、どんな未来があるのか。
今回は、夫のモラハラに長年耐えながら、シングルマザーになる不安を乗り越え、最終的に離婚を選択した女性の事例をご紹介します。
「離婚したい。でもシングルマザーになるのは不安」
ご相談者は、9歳、5歳、3歳の3人のお子さんを育てる専業主婦でした。
夫からのモラハラに長年悩んでいましたが、離婚を決断できずにいました。
夫は子育てには、ほとんど協力しないにもかかわらず、子どもが問題を起こすと、
「お前の躾が悪いからだ!」と妻を怒鳴ります。
家事に少しでも不備があれば機嫌を損ね、少しでも言い返すと一週間以上無視されることも。さらに妻の親や兄弟の悪口まで言われ、彼女は少しずつ精神的に追い詰められていました。
それでも離婚できなかった一番の理由は、夫への愛情ではありませんでした。
「私、ずっと専業主婦なんです。子ども3人を一人で育てられると思いますか?」
お金はどうする?仕事は見つかる?子どもが病気になったら?住む場所は?
そしてもう一つ
「あんな夫でも子どもは懐いているんですよね。子どもから父親を奪うことになりませんか?」
という思いが彼女を苦しめていました。
夫と暮らし続けることもつらい。でも、離婚後の生活はもっと怖い。
彼女はその間で、身動きが取れなくなっていたのです。
彼女が怖かったのは「離婚」そのものではなかった

カウンセリングで私が最初にしたのは、
彼女が何に不安を感じているのか、一つずつ整理することでした。
すると「離婚が怖い」という大きな不安の中に、いくつもの心配が混ざっていることが分かりました。
経済的に生活できるのか。
仕事と3人の子育てを両立できるのか。
住む場所はどうするのか。
子どもたちは父親がいなくても大丈夫なのか。
つまり彼女が怖かったのは、離婚そのものというより、これまでの生活を失った先に何が待っているのか分からないことだったのです。
人は、分からないものを必要以上に怖く感じることがあります。
そこで「離婚する・しない」を急いで決めるのではなく、離婚した場合の生活を具体的に考えていきました。
頼れる人はいるのか。仕事を始めるなら何ができるのか。どのくらいの生活費が必要なのか。
漠然としていた不安を一つずつ現実的な問題に置き換えると、彼女の中で少しずつ変化が起きていきました。
「子どものために離婚しない」は本当に正解?
彼女が最後まで迷っていたのが、子どものことでした。
「私が我慢すれば、子どもたちには父親のいる家庭を残してあげられます」
その気持ちは、私にもよく分かります。
ただ、一緒に考えてほしいことがあります。
「父親がいること」と「子どもが安心して暮らせること」は、必ずしも同じではありません。
父親が母親を怒鳴る。母親がいつも夫の機嫌を気にしている。突然無視が始まり、家の中に重たい空気が流れる。
子どもは、そんな家庭の空気を思っている以上によく見ています。
もちろん、だからといって「子どものために離婚すべき」と一律に考えることもできません。
関係修復できる夫婦もいますし、家庭によって事情はまったく違います。
大切なのは、「離婚したら子どもがかわいそう」という一方向からだけ考えないことです。
離婚しなかった場合、子どもたちはどんな家庭で育つのか。
離婚した場合、どんな生活をつくることができるのか。
どちらを選べば自分と子どもたちがより安心して暮らせるのか。
そこまで考えて初めて、彼女は自分の気持ちと向き合えるようになりました。
離婚を決断。そして数年後「大変だけど、離婚してよかった」

カウンセリングを重ねても、私は彼女に離婚を勧めませんでした。
最終的に決断するのは、彼女自身だからです。
ただ、話を整理していく中で、彼女の言葉が少しずつ変わっていきました。
最初は、
「一人では無理です」
だったのが、
「一人で生活するには、何を準備すればいいですか?」
に変わったのです。
苦労を乗り越えた先に待っているもの
離婚後の生活を具体的に考え、必要に応じて専門家や支援先から情報を得ながら準備を進めた結果、彼女は自分の意思で離婚を決断しました。
もちろん、シングルマザーになったからといって、すべてが楽になったわけではありません。
仕事と3人の子育て。お金のやりくり。子どもの行事や病気。
大変なことはたくさんあります。
それでも数年後、彼女はこう話してくれました。
「大変ですよ。でも、離婚してよかったと思っています。家に帰るのが怖くなくなりました」
私は、この事例を「離婚すれば幸せになれる」という話にはしたくありません。
彼女にとっては、自分で考え、準備し、納得して決断できたことが何より大きかったのだと思います。
