
お悩み相談事例 子どもの不登校で夫婦関係が崩壊寸前に?家族を守るために知っておきたいこと
子どもの不登校をきっかけに、夫婦関係が悪化してしまうご家庭は決して珍しくありません。
子どもの問題は本人だけでなく、家族全体に大きな影響を与えます。
本来なら、子どもを支えるために夫婦で力を合わせたいところです。
ところが、わが子の将来を心配する気持ちが強いほど、夫婦で考え方が対立したり、気持ちのすれ違いが生まれ「どうして分かってくれないの?」という相手への不満が生まれやすくなります。
夫婦カウンセラーとして、ご相談を受けていると「子どもの不登校」だけではなく、夫婦の間にできてしまった溝に苦しんでいる方が多いと感じます。
今回は、そんなご家族の事例を交えながら、夫婦でどのように向き合えばよいのか、一緒に考えてみたいと思います。
中学生の娘の不登校に対して仕事に逃げる夫
中学2年生の娘さんが、不登校になってしまったご家庭です。
最初は「少し休めば、また行けるようになるだろう」と考えていたそうですが、次第に外へ出ることも減り、家の中に引きこもり気味になっていきました。
「このまま学校に行けなくなったらどうしよう」
「娘の将来は大丈夫なの?」
お母さんの心配は絶えません。
しかし、娘さんはあまり相談してくれません。
そして、もう一つの悩みがありました。
夫が娘さんの問題に向き合ってくれないのです。
夫は仕事が忙しく、家に帰ってきても娘さんのことについて話そうとしても、夫は決まってこうです。
「今は仕事が大変だから」「お前が何とかしろよ」
お母さんは、
「娘のことをもっと真剣に考えてほしい」
「なぜ私だけが悩んでいるの?」
と感じるようになりました。
不登校の問題だけではなく、夫への信頼関係まで失いかけていたのです。
「このままでは夫婦関係まで壊れてしまいそうです。どうすればいいんだろう。」
答えがない悩みから、カウンセリングに来られました。
不登校のとき、夫婦はどうあるべき?

子どもが不登校になったとき、夫婦が同じ考え方、同じ温度感で子どもと向き合えるとは限りません。
たとえば、
「今は無理に学校へ行かせなくてもいい」と考える人もいれば、
「将来のためにも、できるだけ早く学校へ戻ったほうがいい」と考える人もいます。
子どもへの声かけ一つをとっても意見がぶつかることがあります。
ここで大切なのは、「どちらが正しいか」を決めることではありません。
夫婦で意見が違っても、「子どものことを心配している」という根っこの部分では同じでしょう。
ただ、その心配の表現方法が違うだけなのです。
お互いにどう受け止めているのかを確認し合う
仕事に逃げているように見える夫も、実は「自分には何もできない」「どう接すればいいか分からない」という戸惑いを抱えている場合があります。
もちろん、だからといって妻がすべてを我慢する必要はありません。
大切なのは、相手を責める前に、
「あなたはどう考えている?」
「私にはこう見えているけれど、あなたはどう?」
と、お互いの気持ちを言葉にしてみることです。不登校による夫婦関係の悪化を防ぐ3つの方法
1.子どもの問題と夫婦の問題を分ける
子どもが不登校になると、夫婦の会話がすべて子どもの話になってしまうことがあります。
「今日は学校に行った?」
「これからどうする?」
そんな話ばかりでは、夫婦としての会話がなくなってしまいます。
子どものことを考えるのはもちろん大切ですが、夫婦が疲れ切らないことも家族を守るためには必要です。
たまには子どもの話をしない時間を作ってみてください。
2.「もっと考えて」ではなく、具体的に伝える
「もっと娘のことを考えてよ!」
そう言われても、相手は「具体的に何をすればいいの?」と戸惑ってしまうかもしれません。
例えば、
「短時間でもいいので娘の話を一緒に聞いてほしい」
「学校について一緒に調べてほしい」
など、具体的なお願いに変えてみましょう。
夫婦でできる小さな行動を一つずつ決めることが、関係改善のきっかけになります。
3.責めるのではなく、自分の気持ちを伝える
「あなたは何もしてくれない」
という言葉の奥には、
「本当は一緒に娘を支えてほしい」
「私も不安でいっぱい」
という気持ちがあるのではないでしょうか。
「あなたを責めたいわけじゃない。私も不安だから、一緒に考えてほしい」
そんなふうに伝えてみると、相手の受け取り方も変わることがあります。
4.夫婦だけで抱え込まない
不登校は、親だけで何とかしようとすると、どうしても視野が狭くなりがちです。
学校の先生、スクールカウンセラー、医療機関や相談機関など、必要に応じて第三者の力を借りることも大切です。
そして、夫婦関係そのものが苦しくなっているのであれば、夫婦カウンセリングなどを利用する方法もあります。
第三者が間に入ることで、「どちらが悪い」という話ではなく、「これから家族としてどうしていくか」という方向に話し合いを戻せることがあります。
夫婦カウンセラーとして思うこと
不登校のご相談を受けていると、親御さんの「子どもを何とかしてあげたい」という愛情を強く感じます。
だからこそ、焦ってしまう。
だからこそ、夫婦にも「もっと頑張ってほしい」と思ってしまうのです。
でも、家族の誰か一人だけが頑張り続ける必要はありません。
確かに不登校はどもの将来を左右する問題なので親としては 気が気ではないでしょう。
しかし、ここで夫婦の意見が対置し、夫婦関係がすれ違えば、子どもの改善どころか悪影響に及びかねません。
不登校の原因を根本から見つめ直す
私は、不登校という出来事を「家族が壊れるきっかけ」ではなく、家族の関係を見直すきっかけにしてほしいと思っています。
「学校に行けるようにする」だけではなく、
「子どもが安心して話せる家庭にする」
「夫婦がお互いの気持ちを話せるようにする」
こうしたことも、家族を支える大切な一歩です。
先ほどのご相談者も、カウンセリングを通して、ご主人を「何も考えていない人」と決めつけるのではなく、ご主人自身が抱えていた戸惑いや不安にも目を向けられるようになりました。
すぐにすべてが解決したわけではありません。
それでも、「夫婦で娘を支えていく」という方向が見えたことで、少しずつ会話が戻っていきました。
家族を守るためには、まず夫婦から

子どもの不登校をきっかけに夫婦関係が悪化すると、「もう家族は元に戻れないのでは」と思ってしまうこともあるでしょう。
でも、今うまく話し合えないからといって、家族の未来まで決まったわけではありません。
「本当は夫に分かってほしい」
「夫婦で協力して子どもを守りたい」
そんな気持ちが少しでも残っているなら、そこにはまだ関係を変える糸口があります。
カウンセリングは、誰かを悪者にする場所ではありません。
「私は何に苦しんでいるのか」
「相手は何を感じているのか」
「これから家族としてどうしていきたいのか」
一つひとつを一緒に整理しながら、夫婦だけでは見つけにくい解決の糸口を探していきます。
不登校のこと、夫婦関係のこと、家族のこと。
一人で抱え込まず、「少し話してみようかな」というところからでも大丈夫です。
家族を守りたいと思っている、そのお気持ちを大切にしながら、一緒にこれからのことを考えていきましょう。
